保険診療で歯石取りを行う場合には、3割負担の方で初診の場合は検査代を含めて3000円から4000円程度になります。2回目以降は歯石の除去や清掃、検査で1回につき1500円〜2500円程度の費用になりますが、施術する歯の本数や部位で値段が異なってきます。
但し、歯周病等の治療として歯石取りを行う場合には保険適用になりますが、歯肉の状態が健康な場合や着色除去、クリーニングのみを行う場合は保険適用外となります。
自由診療の歯石取りは主にPMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)という施術をうけることになります。自由診療の場合、医院それぞれによって値段がことなりますが、当院では30分5000円(税込5500円)、60分8000円(税込8800円)で行っております。
歯科衛生士や歯科医師が専用の機器やフッ化物入りの研磨剤などを使い、磨き残しや歯面の汚れを全て落とし、むし歯や歯周病になりにくいお口を作ります。
歯石取りの回数は主に歯周病の進行度合いや歯石のついている場所、量によって回数が変わります。歯茎の外側の見える場所歯石(縁上歯石)は1回で終わることもありますが、歯周病が進行している場合や、着色が多い場合には上下顎2回に分けて行います。
歯茎の内側の歯石(縁下歯石)は1回から6回に分けて行います。縁上歯石に比べ直接歯石が見えない上に、歯に強固にこびりついているため、1度に行う歯の量は4〜6本になります。ですので、全ての歯に縁下歯石がついていれば6回程度かかる場合があります。
治療回数⇨1回
歯肉にプラーク(歯垢)がたまり、炎症を起こして歯肉ポケットにができた状態。歯肉炎を繰り返すと歯周病へと移行する可能性が高くなります
治療回数⇨1回〜3回
歯肉の腫れが大きくなり歯周病菌が歯周組織に侵入し、歯根膜も破壊され歯周ポケットが深くなった状態。
治療回数⇨3回〜6回
炎症がさらに拡大して歯槽骨も歯の根の半分近くまで破壊され歯がぐらつき始め、さらにポケットが深くなった状態。場合によっては、歯肉の切除や歯肉を開いて歯石を除去する「歯周外科」が必要になります。
治療回数⇨5回〜7回
歯槽骨が半分以上破壊され、歯がグラグラの状態。歯周外科など、あらゆる処置で歯石や歯垢を除去し、歯肉の回復を図ります。場合によっては抜歯となる可能性もあります。
歯石はプラーク(歯垢)が石のように硬くなってしまったものです。プラークはむし歯菌や歯周病菌などの細菌が歯の表面に付着・増殖したもので、それらが石のように硬くなりこびりつくため歯ブラシではとれなくなります。表面がざらざらとした歯石の上にさらにプラークが付着し最近の温床となりやすくなります。
セルフケアをしっかりとしてもどうしても取りきれないプラークが歯石になってしまいます。そのため、本人からは見えにくかったり、歯ブラシが行き届かない場所に歯石ができてしまうので、お口の健康を保つためには定期的に歯科医院でのプロケアが必要になります。
リスク1
歯石を放置すると、その歯石の上にさらに歯周病菌やむし歯菌が付着します。歯石はセルフケアでは中々取れません、また表面がざらざらしていて通常歯に着くプラーク(歯垢)よりも付着しやすくなります。放置するとどんどん悪化していきます。
リスク2
歯石の中の細菌が硫化水素やメチルメルカプタンという、腐った玉ねぎ、卵のような匂いのするガスを発生さます。
リスク3
歯と歯茎の間に歯石がたまると炎症を起こします。その際に出血し、膿がたまるとこちらも口臭の原因となります。また、歯石に血が付着することで黒くなり見た目にも影響がでます。
定期的な検査が必要なのは、見えない歯石等の汚れを落としお口の健康を保つためですが、歯周病やむし歯がないからと定期検診をおろそかにすることは危険です。特に歯周病は、「歯ぐきの状態」「臭い」「歯磨き時の出血」などの症状から推測することが多いと思いますが、自覚症状が出ている場合はすでに進行が進んでいると場合が多いためです。
歯周病はサイレントディジーズ(静かな病気)と言われるほど自覚するのが難しい病気で、初期の段階で自覚されることが少なく、また切り傷のように自然に治るものでもありません。歯医者に定期的に検査を受けることが歯周病の現状を把握する唯一の手段となります。
2020年、九州大学の研究チームによって、歯周病によるアルツハイマー型認知症関与を解明する新しい発見が発表されました(※1)。その他にも、誤嚥性肺炎を引き起こした患者様の肺からは高い頻度で歯周病の原因菌が検出されたり、糖尿病との密接な関係(※2)、歯周病にかかっていると脳梗塞にかかるリスクが2.8倍になるとも言われています。
つまり、歯石を放置して歯周病が進行すると、全身疾患のリスクや悪化を招く可能性があります。健康な日々を過ごす上でも、日頃から口腔内を清潔に保つことは大切なことです。
歯周病は歯周病原細菌で起こる口腔内の慢性感染症であり、糖尿病は糖代謝の異常によって起こる代謝疾患で、両者は病態の異なる疾患である。しかし糖尿病患者で歯周病が高頻度に発症し、重症化した歯周病が歯牙nの喪失や栄養摂取の障害となり、さらに糖尿病の病態を悪化させる悪循環を招くことが考えられる。このように、糖尿病と歯周病はお互いに密接に関連している。
(※1)歯周病によるアルツハイマー型認知症関与を解明する新しい発見
歯の定期検診の目的は「むし歯や歯周病にならない(再発させない)こと」です。もしもむし歯や歯周病になってしまったとしても、初期の段階、軽度な状態での発見が可能になり、ご自身の歯を失うリスクは少なくなります。
歯石が気になったり、定期的な検診にいけてないあは是非一度検診にお越しください。健康な日々を過ごすために一人ひとりに合った治療や予防方法をご提案します。
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