歯ブラシや歯科治療でえずいてしまう「異常絞扼反射」について

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歯科治療で起こる異常絞扼反射について

異常絞扼反射とは

歯磨きで歯ブラシが奥に入ると「オエッ」となってしまったり、歯科治療の際に器具が口に入るたびにえずいてしまう等の理由から、歯科医院での治療が辛いと感じる方は少なくありません。のどの奥に物が触れたときにえずくのは「絞扼反射こうやくはんしゃ」という反応で、異物がのどに入るのを防ぐための、人間に備わっている防御反応です。

この反射が必要以上に強く現れて、通常の歯科治療に支障が出る状態を「異常絞扼反射」と呼びます。この反応は病気や異常ではなく、決して恥ずかしいことではありません。反射の程度に応じた対応方法がありますので、えずきやすいことを我慢せず、まずは歯科医院に伝えることが適切な治療への第一歩です。

歯科治療中にえずいてしまう患者様のイラスト

絞扼反射と嘔吐反射の違い

異物がお口の中に入ってきた時のえずきは、絞扼反射のほかに「嘔吐反射おうとはんしゃ」という名称がよく使われますが、原理や仕組みはほとんど同じです。絞扼反射はえずく反応だけが起こるのに対して、嘔吐反射は胃の内容物まで吐き出してしまう反応を指すため、実際に起こっているのは絞扼反射である事が多いと言えます。

絞扼反射が強く出たり口にものを入れづらくなる原因には、身体的なものと心理的なものがあります。身体的な原因は、口やのどの感覚がもともと敏感なことです。心理的な原因は、過去の歯科治療でのつらい経験による不安や緊張です。多くの場合、この両方が重なって症状が出ています。当院では、絞扼反射・嘔吐反射のある患者様に対して、反射に配慮した治療を行っておりますので、治療の際はお気軽にお申し付けください。

絞扼反射が起こる身体的・心理的な原因を示したイラスト
なんばアップル歯科 歯科医師

この記事の監修

なんばアップル歯科 歯科医師

北野きたの 潤一じゅんいち先生

絞扼反射や嘔吐反射は、日常の歯科診療でよく遭遇する反応であり、決して特別なことでも恥ずかしいことでもありません。ところが、「えずいてしまって迷惑をかけた」という体験があると、歯医者での治療が進められずに歯の状態が悪化してしまうケースもあります。

反射が強い方でも、治療時の工夫によって負担を抑えて治療を受けられる方法が複数あります。このページでは、異常絞扼反射の原因と程度に応じた対応法、当院でご提案できる治療法について解説しています。えずきやすさが理由で歯科治療を避けてしまっている方の参考になればと思います。

異常絞扼反射の原因

絞扼反射が起こる仕組み

絞扼反射は程度に差があるものの、誰にでも起こる反応です。身体の中に異物が入り込もうとした時、気道が塞がってしまう事を防ぐための機能と言われています。具体的には、「口蓋(お口の上部)」「舌の奥」「扁桃の周辺」「喉奥」付近に異物感を感じた時に引き起こされるとされています。

基本的に絞扼反射は食品では起こりにくく、身体が異物と判断した場合に意思と関係なく起こってしまいます。歯科治療ではプラスチックや金属の器具を口の中に入れる機会が多く、絞扼反射が起きやすいとされています。

絞扼反射が起こる仕組みを示したイラスト

絞扼反射を起こす原因.1

歯ブラシ等のケア用品

歯ブラシや指など、ご自身の意思でお口の中に入れた物でも反射は起きやすいです。特に、大きなヘッドの歯ブラシで奥歯の内側を磨いたり、舌磨き用のブラシで舌の根元まで磨こうとすると反射が出やすいです。

ご自身の絞扼反射の出やすさやなりやすい箇所を把握して、小さなヘッドの歯ブラシを使ったり、必要以上に器具を喉元に入れないことが絞扼反射の予防につながります。

絞扼反射を起こす原因.2

歯科治療器具

歯科治療では、歯を削るタービンや治療箇所を確認するミラー・局所的なレントゲン撮影(デンタルレントゲン)のための器具など、お口の中に多くの器具を入れます。特に、ミラーは角度を付けるために舌や頬に当たることが多いので、苦手な方は多いかもしれません。

反射を出しにくくするためには、あらかじめ絞扼反射・嘔吐反射に対応した小さな器具を使うなどの、歯科医院の設備的な配慮が必要になります。

絞扼反射を起こす原因.3

心理的な不安・ストレス

過去の経験などから、歯科医院での治療が不安になって絞扼反射が出てしまう場合があります。絞扼反射を起こしてしまう自覚があると、歯科治療の際に緊張やストレスを感じて余計に反射が出やすくなる事もあります。

診療室のような個室空間では不安障害の症状が出やすいことも知られているため、落ち着ける空間で治療を進めていくことが大切です。

異常絞扼反射の改善方法

絞扼反射・嘔吐反射は軽減できます

絞扼反射・嘔吐反射はご自身でのコントロールが難しく、改善もできないと感じる方も多いですが、反射が起こる仕組みをしっかり把握していれば、特別な方法を用いなくても改善できる可能性があります。1つは患者様自身で対応できる内容で、「鼻呼吸を意識する事」「治療前の過度な食事を控える」など、えずきや不快感を下げるためにすぐ実践できる事があります。

もう1つは、医院側が絞扼反射に配慮した治療を行う事です。患者様の体勢や気分について丁寧に確認しながら治療を進める事で、反射が出てしまう場面を減らすことができます。

起こした状態の歯科医院の診療台
倒さない診療台のイメージ

絞扼反射の改善法.1

診療台を倒さない

治療を受ける際、診療台を完全に倒さず起こし気味にする事で、水や唾液がのどの奥に流れにくくなり、絞扼反射はかなり出にくくなります。大抵の診療台は角度や高さを細かく調節できるため、治療が可能な範囲で患者様に配慮した角度に合わせることができます。

診療台の角度と合わせて、器具を入れる位置や吸引のタイミング、こまめな休憩、鼻でゆっくり呼吸する声かけなど、小さな工夫の積み重ねで負担を減らすことができます。

口蓋への麻酔イメージ

絞扼反射の改善法.2

口蓋への麻酔

絞扼反射などの反応は、お口の上部・口蓋と呼ばれる部分に物が近づいたり、当たったりする事がトリガーになると知られています。

反射が強く出てしまう場合には口蓋部分に局所麻酔を注入する事で感覚を鈍らせ、反射が起きる反応を少なくすることができます。

スキャナーを使った印象採得

絞扼反射の改善法.3

スキャナーで型採りをする

詰め物・被せ物治療の最後には、歯の形を採取するための型採りをする必要がありますが、異物感が強いため絞扼反射・嘔吐反射が出やすいです。印象材を盛り付けた金属トレーは非常に大きく、絞扼反射がない方でも辛いと感じる事が少なくありません。

当院では小さな口腔内カメラで歯の型採りができるスキャナーを導入しているため、型採りの辛さを軽減することができます。

異常絞扼反射に配慮した治療法

絞扼反射の改善が難しい場合

絞扼反射を軽減するための工夫や処置を行ったとしても、誰しもが完璧に反応を無くせる訳ではありません。絞扼反射・嘔吐反射は自分の意思による制御が難しいので、我慢や気合いで改善することはありません。

そういった場合は、意識をリラックスさせる処置や麻酔を追加で行う事で治療を進めていく方法を考えます。眠っている状態に近い感覚になるため、完全に出なくなる訳ではありませんが、反射が大幅に出にくくなり、痛みや不快感・精神的な苦痛も改善できる可能性が高いです。

異常絞扼反射によって治療が困難な患者様のイメージ

笑気麻酔

亜酸化窒素と呼ばれる医療用のガスを鼻から吸入しながら治療を受ける方法です。笑気麻酔は意識が保たれたままウトウトとしたリラックス状態になるため、緊張がやわらぎ反射が出にくくなります。

作用が穏やかで、ガスの吸入をやめるとすみやかに元の状態に戻り、当日はそのままご帰宅いただけます。歯科治療への緊張が強い方や、軽度〜中等度の絞扼反射の方に向いています。

※当院では、自由診療にて笑気麻酔を提供しています。

静脈内鎮静法

点滴で鎮静薬を投与する方法です。鎮静中は眠っている状態に近い感覚になり、恐怖心や緊張がほとんどない状態で治療を受けられます。

鎮静薬には健忘効果があり、治療中の音や振動などの記憶がほとんど残りません。重度の絞扼反射の方や歯科治療への恐怖心が強い方には、とても有効な治療手段と言えます。

※当院では、自由診療にて静脈内鎮静法を提供しています。

全身麻酔

麻酔薬の投与によって眠った状態を作り出し、完全に意識が無い状態で治療を進める方法です。笑気麻酔や静脈内鎮静法と違い自発的な呼吸が抑制されるため、適切な身体管理と人工呼吸器の装着が必須となります。

歯科医院で全身麻酔の設備が整っている施設は極めて稀であり、事前検査や入院の可能性も高いため、どうしても全身麻酔でしか治療ができない場合に選ばれる麻酔方法と言えます。

※当院では全身麻酔を用いた治療は取り扱っておりません。

異常絞扼反射の注意点

無理に治療を進めません

絞扼反射が原因で治療が受けられない患者様は、久しぶりに歯科医院へ行く事自体が苦しいかもしれません。当院では、「自分に絞扼反射が強く出る感覚がある」と申し出ていただいたら、無理に治療を進める事はありません。まずは歯科医院の空間やスタッフに慣れていただき、簡単な処置から進めていく事で、心理的な負荷を下げることを大切にします。

通院を通じて、できる治療とできない治療が明確になっていったり、反射が緩和されていくこともあるため、無理のない範囲で少しずつ治療を進めていけるよう、スタッフ一同サポートさせていただきます。

患者様のペースに合わせて治療を進める歯科医師のイラスト

短期集中歯科治療について

当院では、忙しくて歯科医院に何度も通えない、予定があり早く治療を終わらせたいといったご要望に対して、1日で2〜8時間の時間を確保して治療を進めていく短期集中歯科治療という診療メニューを用意しています。絞扼反射が強く出てしまう方に対しては、短期集中歯科治療と静脈内鎮静法を併用することで、治療を素早く・リラックスして進めることも可能になります。

短期集中歯科治療は自由診療となり、費用は多く必要になりますが「何度も歯科医院に通う」「毎回不安な気持ちになる」「治療を中断してしまうリスク」などの大幅な改善が期待できます。歯医者の通院回数や期間についてお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

短期集中歯科治療(自由診療)の特徴

  • 1日で可能な限り治療を進める事ができる。
  • 何度も通う面倒さや、治療の怖さを感じる回数を減らせる。
  • 静脈内鎮静法と併用する事で、より不安の少ない治療を実現可能。

えずきを我慢せず受診しましょう

絞扼反射や嘔吐反射などの「えずき」は病気ではなく人間に備わる機能ですが、歯科治療などの出て欲しくないタイミングで反射が起きてしまう事で、治療が思ったように進まなくなったり、その結果お口の健康が著しく悪化してしまう可能性があります。

当院では「無理やり治療を進める」「反射が出る事を叱る」といった、患者様にとって辛い処置や対応は行いません。絞扼反射を改善していけるような処置・対応や、より安心して受けられる治療方法のご提案をさせていただきます。絞扼反射・嘔吐反射でお困りの際は、お気軽にご相談ください。

異常絞扼反射に配慮した治療方法についてカウンセリングする歯科医師

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この記事の編集・責任者は歯科医師の北野潤一です。
DR北野

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