歯周病とは歯と歯茎の間に細菌が繁殖することで、歯の周囲が炎症を起こしてしまう炎症性疾患です。歯の周りは歯周組織といわれており、歯槽骨(歯を支えている顎の骨)・歯根膜(歯槽骨と歯根の間に存在する薄い膜)・歯肉(歯ぐき)・歯肉溝(歯周ポケット)で構成されており、歯を支えてくれています。歯周病は歯周組織を破壊する恐ろしい病気です。進行過程としてはまず歯茎の炎症(歯肉炎)から始まり、進行するにつれて歯根膜や歯槽骨を溶かしていきます。歯周病は自覚症状がないまま症状が悪化しがちです。そのため、多くの方が、歯がグラついたり、ブラッシングの際に血が出る・膿が出る、口臭がキツいなどの症状が現れてからようやく違和感に気づきます。歯肉(歯茎)が炎症を起こしている「歯肉炎」、歯茎だけでなく歯槽骨が溶けている「歯周炎」、これらを総称して歯周病と呼びます。
歯周病の直接的な原因は歯にこびりついた歯垢にあります。歯垢は別名「プラーク」とも呼ばれている、細菌の塊です。プラークが口の中で毒素を出すことで歯茎に炎症が起こってしまいます。※1)プラーク1mgの中には約300種類もの細菌が存在しており、その数は1億個ともいわれています。
※1)参考サイト
歯周病になりやすい人の特徴としては、歯磨きを怠っていることはもちろん、喫煙や歯ぎしりが多いことが挙げられます。歯周病は、歯や歯茎にダメージを与えることで悪化します。
歯周病が進行し始めると以下のような症状が現れます。心当たる項目がある方はすぐにご相談下さい。
歯周病でダメージを受けるのは歯や歯茎だけではありません。プラークの中の歯周病菌は、誤嚥(ごえん)によって、気管支から肺に侵入してしまい、誤嚥性肺炎を引き起こすこともあります。また、歯周病は糖尿病の合併症の1つとも言われているほど深い関係にあります。糖尿病にかかると、細菌に対する免疫抵抗力が低下するため、歯周病に感染しやすくなります。逆に、歯周病にかかるとインスリン抵抗性が高まってしまうため、血糖値が上がりやすくなって糖尿病を悪化させてしまう危険性があります。
※1)糖尿病と口腔内疾患の関わりについては50年以上前から研究されてきた.現在では歯周病は糖尿病の合併症のひとつとみなされており相互に関与すると考えられている
歯周病は軽度の状態を「歯肉炎」といい、正しいブラッシングを続けることで改善できる場合が多いですが、重症化して歯槽膿漏(しそうのうろう)を引き起こすと、本来歯を支えている歯槽骨が溶けている状態なので、歯がグラグラになってしまい、抜歯する必要がでてきます。
歯周病を予防するためには、正しい歯磨きを続けてお口の中を綺麗な状態に保つ「プラークコントロール」がとても重要です。歯垢が歯周病の原因になるので、歯石化してしまう前の柔らかい状態のうちに正しいブラッシングで歯垢を徹底的に除去しましょう。
ブラッシングのコツとしては歯ブラシが歯と歯茎の隙間にしっかりと届かせることを意識し、優しくかつ細かくブラシを動かして歯垢を落としましょう。しかし、それでもセルフケアでは落としきれないプラークは必ずと言っていいほど残ってしまい、歯石化してしまいます。これを落とすためにはやはり歯科医院でのメインテナンスが重要です。適切な歯磨きと、定期的な歯科受診で、歯周病からお口の健康を守りましょう。
歯周病はできる限り初期段階で治療することが大事です。軽度の症状であればプラークコントロールや歯石を除去することで進行を止めることができます。しかし、歯周炎が悪化して、歯槽骨が溶けだしはじめてしまうと、溶けた骨は二度と元には戻りません。
歯周病は自覚症状がでにくい病気です。知らず知らずのうちに進行してしまうので、手遅れになってしまう前に治療しましょう。「歯磨きすると歯ぐきから血が出る」「歯ぐきがぶよぶよしている」など、少しでも症状を感じ始めたら、お早めに受診をご検討下さい。歯周病の予防は、アップル歯科で最も大切にしている治療の一つです。
1)顕微鏡検査で口腔内を見ることで、細菌の種類、数、大きさなど、現状を知ることから始めます。
2)歯周ポケットの深さを計ると同時に、歯茎と歯の状況をチェックします。
3)歯と歯茎のクリーニングを行います。歯や歯周ポケットに付着したプラークや歯石を除去することで炎症の原因を取り除きます。
4)健康な歯が維持できるよう、ご自宅でのブラッシング方法をレクチャーいたします。
※1)口は、体の中で最初に喫煙の影響を受ける部分です。たばこの煙や成分は、口の中に入ると粘膜や歯ぐきから吸収されます。吸収されたたばこの有害物質は、血管を収縮し、歯ぐきの血流量を減少させます。血液循環が悪化して歯ぐきに十分な酸素がいきわたらなくなると、歯周ポケットの中で歯周病の原因となる細菌が繁殖しやすくなります。
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