皆さんは「歯を削った後の治療」において、どのような素材をご存知ですか?銀歯・金歯・セラミックなどは有名どころでご存知なのでしょうか?
それでは、金額を考えずに、この3つの中で、自分の口に入れるならどの素材のものを入れたいですか?と聞かれたら、おそらく多くの方が「セラミック」を選ばれるのではないでしょうか。実際、当院でも前歯の被せ物治療においては、7割程度このセラミックを選ばれています。その理由の多くは「見た目が自然」「見た目がキレイ」「歯と同じ白色だから」だそうです。では、実は保険においても白い被せ物があるのはご存知でしょうか?実はCAD&CAM冠という、強化レジンの被せ物です。他にも、前歯に関しては以前から前装冠という硬質レジンに金属を裏打ちした被せ物も使用されています。
実はこれをネットなどで見て、保険で白い歯を入れたいという患者様はたくさんこられます。2021年8月現在、このCAD&CAM冠は、条件はあるものの、7番(親知らずを除く一番奥の歯)以外の歯に適応が可能です。しかし、食いしばりが強かったり、咬み合わせによる負担が大きい歯や、欠損がある場合などは、このCAD&CAM冠を入れることが出来ないこともあります。
しかし、実はそうでなくても前歯に限っては、保険が使えないセラミックを選ばれることも多いのです。では、なぜお金を出してまで自由診療の歯を選ぶのでしょうか。「セラミックの方がキレイだから」というのはもちろんですが、それ以外にも実は多くの理由があるのです。ここでは、「患者様がセラミックの歯を選ぶワケ」を厳選して7つご説明します。
理由1
保険の歯は自由診療のセラミックと違って、複雑な模様や色を付けることが出来ません。また、素材もemaxセラミックやジルコニアセラミックほど天然の歯に近いものではありません。そのため、色は白いものの、どうしても「治療歯」とわかる色味の違いはあると思います。
一度は保険の治療を選ばれた方も、数年後「セラミックに変えてほしい」と希望される場合も多く、その場合の理由の多くは、この色味の違いが許容できなかったからという患者様が多くおられます。
理由2
保険の白い歯には「前装冠」という硬質レジンと金属を使った歯と、CAD&CAM冠というレジンに陶材を混ぜたものの2種類があります。見た目的にどちらが天然歯に近いかというと、CAD&CAM冠に軍配があがります。では、どちらのほうが強度があるかというと、金属を使った前装冠に軍配が上がります。
ただし、どちらもレジン(プラスチック)の特徴も兼ね備えています。それは着色しやすいということ。例えば、子供の食器を思い出してください。小さなお子様が使うプラスチックの食器で、カレーやナポリタンを食べると、なかなか色やぬめり落ちなかったという記憶はありませんか?また、使用を重ねるごとに色が着いたり模様が剥がれたりということはありませんでしたでしょうか。これがプラスチックの性質で、レジンは着色や変色がしやすいという特徴を持っています。見た目を気にする方の多くは、この変色が気になることも多いようです。
理由3
これはあまり知られていませんが、実は保険の白い歯を入れた場合、中には金属のコアという支柱を入れています(セラミックでも金属のコアを使う場合もあります)。保険の白い歯は、この金属のコアから溶け出した成分が歯茎に吸着しやすく、歯ぐきが黒くなってしまうことが多いのです。
この黒くなってしまった歯茎をメタルタトゥーと言って、除去するには費用がかかってしまいます。笑ったときに歯茎まで見える方にとって、このメタルタトゥーは大きなコンプレックスになる場合も多いようです。
理由4
保険の白い歯は昔に比べ強度は増してきたものの、セラミックや金属に比べると弱い性質の材料です。そのため、咬み合わせの力によって割れてしまったり、チップといって一部分が欠けてしまったり、時間の経過とともに歯茎との境目部分に隙間ができることもあります。
食いしばりが強い方の場合何度も割れたり欠けたりすることを繰り返すことも多く、結果的に別の補綴を検討される方も多くおられます。
理由5
歯を削る、特に被せ物が必要となる神経を取る処置が必要になる原因は、多くがむし歯です。保険の白い歯は前装冠もCAD&CAM冠も、セラミックや金属に比べて接着がしにくいという問題があります。そのため、使用するうちに接着面のセメントが取れてしまったり、歯と歯ぐきの間に隙間ができることもあります。
こうなると、そこからむし歯菌が入り込み、被せ物の内側からむし歯が進行してしまうこともあります。そのため、「むし歯で治療した歯が、治療に使った歯のせいでまたむし歯になってしまう。」こんな矛盾を起こさないために、予防的にセラミックを選ばれる方は、想像以上におられると思います。
理由6
CAD&CAM冠とは、その名の通り、コンピューターによって設計し、コンピューターによって作られる歯です。そのため、治療の精度はコンピューターによって一律化されていると言っても良いかもしれません。しかし、例えばCAD&CAM冠を作るための模型に問題があれば、ピッタリはまる歯が出来てこないこともあります。また、技工士さんが作る歯のように、個人ごとの配慮というものが出来ない場合もあります。そのため、出来た上がった歯がしっくりこないというケースも稀にあります。
実際CAD&CAM冠を作るコンピューター、技工士さんの手作り、どちらが上手いの?と聞かれると、私は「上手い技工士さん」と答えると思います。CAD&CAMはかなり精度が上がってきてはおりますが、また、人の手による補綴物のほうが優れているケースが多いと感じています。
理由7
CAD&CAM冠はセラミックや金に比べて、何年も使えるような設計ではありません。数年後には着色が始まり、さらに数年後には隙間が目立つようになったり、年月を経るごとに見た目から「劣化」を実感する可能性は高いです。そのため、概ね5年程度では、再治療が必要になることも多いです。また、保険治療のため2年以内に割れてしまうとやり直しに保険が効きません。もし、そこからセラミックに変えるとすると、最初の保険治療の分だけ、高くなってしまいます。一度この劣化の経験からセラミックに変えられた方は、他の歯が被せものになった場合、最初からセラミックを選ばれるようになることもあります。
とはいえ、保険で金属を使わないCAD&CAD冠が入れれるようになったことは、とても良いことだと思っています。例えば海外の映画を見ると、俳優さんの口の中に銀のものが光ることなどありませんよね。これは、海外では補綴物に金属を使っていない国もあるからなのです。日本も歯科材料に金属以外の選択肢ができたことは、非常に喜ばしいことだと感じています。
ですから、CAD&CAD冠を選択される事自体は決して悪いことではないと思います。ただ、その上で「長期的な使用は見込めないこと」や「定期的に検診を受けること」を念頭においておく必要はあると思います。
大切なのは、お口の中に入るものが、どんな素材でどんな特徴があるのか、ご自身が把握して納得の上治療を受けることです。歯の治療の際は歯科医師としっかりご相談の上、後悔のない選択をしましょう。
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