実は世界では、日本人は「歯並びが悪い人が多い」と言われています。これは、もともと顎が小さく歯並びが悪い人が多いというのもありますが、そもそも矯正治療を受ける人が少ないというのも、理由の一つと考えられています。
歯列矯正をしない理由としては、「費用がかかる」「期間がかかる」「通うのが面倒」「痛そう」「矯正装置の見た目がいや」など様々です。
その他、「矯正したいと思わない」という人も多数おられるそうです。これは日本人は歯並びが悪い人が多いため、自分も歯並びが悪くても気にならないという、集団心理のようなものが働いていることが考えられます。
しかし最近では、ネットや口コミで「矯正治療をやらなきゃよかった」「矯正治療をして後悔した」という人の声を見て、矯正治療をするのが怖くなったという方もおられます。ここでは、矯正治療をやらなきゃよかったと思う人たちは、どんな理由でそう思うのかを紐解いていきます。
矯正治療は「不正咬合」といって、悪い咬み合わせを治す治療です。加えて、歯並びがキレイになることで「見た目」が良くなるというメリットが付随します。しかし、矯正治療をしたいと考える人のほとんどはこの「見た目」の方が大きな目的となってきます。そのため、矯正治療で歯並びはキレイになっても、顔つきが自分が望んでいた通りにならなかったり、矯正治療の弊害でネガティブな事が起これば「ブサイクになった」と後悔してしまいます。
矯正治療でブサイクになる原因は主に3つ考えられます。
ほうれい線が濃くなる | 出っ歯の治療や抜歯矯正などにより、口元がへっこみ、それまで張っていた皮膚が弛むことでほうれい線が濃くなったり、矯正治療中の痛みや不快感で食事の回数や咀嚼が減り、筋力不足や栄養不足が原因で起こることがあります。 |
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顔が面長になる | 矯正治療中の痛みや不快感で食事の量や回数が減り、栄養不足によって頬骨が目立ってしまったり、咬み合わせの変化により筋肉の形が変わり、エラがなくなることで面長になる場合があります。 |
口元がゴボっと前に出る | 主に非抜歯矯正で起こりやすく、歯並びをキレイに並べるスペースが無いのに矯正をすると、スペースを確保するために前に張り出すことで並べた結果、出っ歯になり口元の突出します。 |
矯正治療は不正咬合を治療し、咬み合わせを整える治療です。しかしながら矯正治療を望む方の主訴は「見た目の改善」を希望される方が大多数です。それでもほとんどの歯科医師は、「見た目と咬み合わせ両方」を良くすることを治療のゴールとして治療計画を考えるため、「噛めなくなる」というのはほとんどありません。
しかし中には、矯正治療をすることで咬み合わせが変わり、歯の接触面や筋肉の使い方になれない期間に「噛みにくい」と勘違いしてしまう方もおられます。この場合はほとんどのケースで、時間の経過とともに違和感なく噛めるようになるので、見極めも難しいところでもあります。
それでも中には、見た目だけに重点を置いて、咬み合わせが疎かになってしまったり、咬み合わせを考慮しない治療を提供している歯科もあるようです。
矯正治療後に噛めなくなる主な原因は以下の3つが挙げられます。
美容矯正 | 審美性に特化し、矯正の知識が乏しい歯科医師が見た目の改善のみを目的ちして治療を行うと、咬み合わせが合わなくなり噛めなくなることがあります。 |
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マウスピース矯正 | 間違った治療計画で設計された装置によるマウスピース矯正や、一部のマウスピース矯正装置では、咬み合わせを整えることができず、噛めなくなることがあります。 |
セラミック矯正 | セラミック矯正は歯の根残して被せ物の向きだけで歯並びをよ良く見せるため、歯の根に変な方向から力が加わり咬み合わせが崩壊したり、咬み合わせを無視した治療が行われることで、噛めくなり場合があります。 |
矯正治療は、矯正装置を使って歯に力を加え、歯を移動するという治療です。その力の加減によっては、歯の根に大きな負担がかかり、歯の神経が失活することがあります。また、場合によっては歯根吸収といって、歯の根が吸収される(溶けてしまう)こともあります。
歯の神経は歯の根から歯周組織・歯槽骨とつながっています。その神経が矯正装置の矯正力によって歯とともに移動するわけですが、その力強すぎたり早すぎると、神経が移動についてこれず、失活(神経が死ぬこと)してしまいます。
失活しても、歯がすぐに抜け落ちるわけではありませんが、抜髄という神経を取る処置・その後の補綴(詰め物や被せ物)治療が必要になったり、歯の寿命が短くなってしまいます。
歯の失活は、矯正治療の偶発症として予め説明の上、同意を頂いて治療を初めますが、いざ失活してしまうと、そのショックは後悔につながるものだと言えます。
歯の神経が死ぬ可能性は高くはありませんが、ゼロではありません。そのため、矯正を担当する歯科医師は、歯の失活や吸収を防ぐため、最適なスピードや矯正力で治療を行っていく必要があります。
矯正治療で歯を動かすと、仕上がりに「ブラックトライアングル」という三角の隙間ができることがあります。特にできやすい部位が下顎の前歯です。ブラックトライアングルができる主な原因は、歯の形と歯槽骨の厚みです。前歯は根にいくほど細くなる三角形のような形です。もともとの歯並びでは隙間がなかったとしても、歯を動かしてこの三角形を並べてみると、どうしても隙間ができてしまうことがあります。
また、下顎は特に歯槽骨が薄く、矯正治療によって歯茎が痩せることもあります。これにより、より細くなった部分が露出し、細いほど隙間はできやすくなります。
対処法としては、以下の方法が考えられます
ストリッピング | 歯を薄く削る方法で、矯正中に歯の形を少し変え、並べたときに隙間ができにくいように歯の形を整え、歯を動かします。 |
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ダイレクトボンディング | 隙間の部分をコンポジットレジンという歯に見た目が近い材料で埋める治療です。 |
歯肉移植・ヒアルロン酸 | 歯肉を移植して歯の根を覆ったり、ヒアルロンさんで歯肉を膨らますことで隙間を目立たなくします。 |
不正咬合の原因の一つに「顎が小さい」ということが挙げられます。つまり、顎が小さいために歯が並ぶスペースがなく、そのために叢生(デコボコ)に歯が生えたり、前向きに生えることで出っ歯になったりします。
例えば、この叢生をそのままキレイに並べようとすると、スペースが足りません。そのため、前にやや倒しながら歯を動かすことで歯を並べることになります。これが矯正治療で出っ歯になる主な原因で、抜歯矯正であればそうはならなかったケースも多々あります。
抜歯をせずに矯正をする理由としては、歯科医師側の知識不足や、患者様が頑なに抜歯を嫌がった場合などが考えられますが、特に最近ではマウスピース矯正によって「出っ歯になってしまった」という方が増えてきているようです。矯正で出っ歯にならないためには、以下の方法が挙げられます。
抜歯矯正をする | 歯を抜歯することでスペースを作り、片顎12歯で咬み合わせを作ります。通常4番の歯を抜歯することが多いです。 |
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歯を薄く削る | 歯を薄く削って、スペースを確保するストリッピングという方法です。歯を削れる量は1歯0.2〜0.5mmです。 |
歯を後ろに送る | 遅れる量は限られますが、歯を後ろ(奥歯の方向)へ送ることで多少のスペースを作ることができます。 |
「歯が長くなる」といっても歯は伸びるわけではありません。矯正治療で歯が長くなるというのは、歯肉の退縮や移動によって露出している面積が大きくなるためです。
矯正治療は歯に力をかけて移動するため、歯肉にも負担がかかります。さらに矯正装置を着けることで清掃性も悪くなり、メインテナンス不良が起こりやすい状態でもあります。
特に、もともと歯周病に罹患している方や、歯槽骨の薄い方は矯正治療後に「歯が長くなった」と思うほど、歯肉が退縮する可能性は高くなります。
対策としては歯肉の移植などが考えられますが、不可能な場合もあります。矯正治療前や矯正治療中にメインテナンスをしっかり行い、歯肉の退職を抑えることが大切になります。
矯正治療中は、矯正装置を着けることで清掃性が悪くなり、虫歯や歯周病になりやすくなります。また、仮に虫歯ができてしまっていても、矯正歯科によっては虫歯治療ができない歯科や、矯正治療が終わるまで経過を観察せざるを得ない場合もあります。
結局矯正が終わってみれば、その虫歯による治療痕だらけの歯になってしまったり、歯周病で歯肉が退縮して歯が長くなってしまったりと、歯並びは良くなってもお口は悪くなってしまったということにもなりかねません。
そのため、矯正中は特にセルフメインテナンスを頑張って頂く必要があります。矯正器具がついている部分の清掃方法や、歯ブラシ以外のケアグッズを使ったお手入れ、食後は必ず歯磨きをするなど、ケアを徹底して頂くことが重要です。また、それに加えて歯科医院でのプロケアで、歯石や汚れを定期的に落とすことで、矯正治療中の虫歯・歯周病リスクを下げる必要があります。
矯正治療は一旦スタートすると、なかなか担当医を変更できる治療ではありません。そのため、治療を始める間に歯科医師との相性をしっかり確認しておくことが大切です。
例えば、「こちらの要望を聞いてくれるか」「しっかりと説明してくれるか」「トラブルがあったときに対処してくれるか」など、親身になって対応してくれる先生かどうかを見極める必要があります。
なぜなら矯正治療は、ワイヤー矯正なら「ワイヤーが切れる」「装置が外れる」、マウスピースなら「合わなくなる」「穴が空く」という小さなトラブルが何度か起こる可能性があります。その際、歯科医師にとっては大したことのないトラブルであっても、患者様自身はどうすれば良いかわからず、焦ってしまいます。そんなときでも、気軽に頼ることができるか、安心して相談・質問ができるかなど、コミュニケーションが取りやすい歯科医師であるほど、患者様は安心して治療に臨めます。
矯正治療のおいて、治療計画は地図のようなものです。そして、そのゴールをどのように設定するかが、とても重要になります。
例えば、「なんばに集合」と言われても、なんばのどこに何時に行けば良いのかわかりません。しかし、「明日の10時に大阪高島屋のエントランス前に集合」と言われれば、交通手段や電車の時間を調べ、その時間に集まることができます。
それと同じで、矯正もどのような装置を使って、どの歯とどの歯をどのような状態で咬み合わせるのか、しっかり計画をしておくことで、間違いなくそこに辿り着くための準備ができます。
ですから矯正治療を始めるなら、この治療計画をしっかり歯科医師に説明してもらい、設定したゴールがあなたの望むものかどうか、納得した上で治療を初めましょう。
矯正治療治療を初めた方で「途中で担当歯科医師が信用できなくなった」「矯正医と連絡がつかなくなった」「引っ越しして通えなくなった」などの理由で、矯正治療をやめてしまう方もおられます。
そのせいで、中には矯正装置をつけたまま数年間放置してしまう方もおられます。しかし、その状態で過ごすのはとても危険で、虫歯や歯周病のリスクが上がるたけでなく、矯正力がかかり続けているとすれば、どんどん咬み合わせが悪くなってしまうこともあります。
もし、どうしても通っていた歯科での装置撤去が難しい場合は、別の歯科でも構いませんので早めに相談しましょう。当院でも、やむを得ない理由での矯正装置撤去は、同意書を頂いた上で対応しています。
また、最初の矯正治療で後悔はしたけど、「やっぱりしっかり治したい」「せめて今の不快感を改善したい」という方もたくさんおられます。
矯正治療はもうしたくないけど、しっかり噛めなかったり、歯並びが悪ままで一生過ごすことを思えば、やはりしっかり治療したいというお気持ちはよくわかります。
そんなときは、まずは相談だけでもお越しください。当院では、矯正治療のリカバリーについてのご相談や、後戻り治療にも対応しています。
「また同じような費用がかかる(再治療の場合、費用を抑えられることもあります)」「今度は本当に治るのか心配」など、矯正治療で後悔した人にとって、もう一度治療を受けるのはかなり勇気のいることです。
ですから、まずは相談から初めましょう。今度こそ後悔しないために、じっくりと相談して検討してください。
この記事の編集・責任者は歯科医師の林大智です。
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