虫歯治療の際に使われる詰め物・被せ物ですが、形状によって種類が別れていることはご存知でしょうか?歯科医師としては、できるだけ虫歯にしないようにするのが務めではありますが、虫歯になってしまったら歯を削って治療するほかありません。 残念ながら虫歯になってしまった際は、虫歯を削って、空いた部分の歯を元の形に戻すため詰め物や被せ物を使います。 ごく小さな虫歯にはコンポジットレジンと呼ばれる合成樹脂素材を削った部分に充填する方法が広く用いられています。それ以上大きく削るものになると、インレーと呼ばれる詰め物を適用します。歯の大部分を削らなければならない場合は、クラウン・つまり被せ物が適用されます。 その中でもインレーについてくわしく説明いたします。 インレー(inlay)とは、虫歯治療で削った穴にはめ込む形の詰め物のことを言います。中でも歯の表面を大きく覆うようなものは「アンレー(onlay)」とも呼ばれます。 虫歯を削った後の形にはめ込むための型取り・形成が必要になるため1回の来院で治療を終えることができませんが、治療後は噛み合わせに合った綺麗な形の歯を取り戻すことができます。虫歯治療の詰め物について
詰め物の種類
詰め物治療とは
歯の上部と側面に虫歯ができてしまっています。この2箇所を削って、インレーをはめ込む穴を形成していきます。
1度目の施術で虫歯を綺麗に除去します。削った穴は次回の施術までは仮の詰め物を入れて塞ぎます。
2度目にインレーが適用できる形に整えていきます。形が整ったら削った歯とその反対側の歯型を取り、インレーを作ります。
3度目に出来上がったインレーをセメントなどの接着剤で装着して、治療完了となります。
歯を削った後にインレーを作る必要があるため、1度の来院で治療が完了することはありませんが、虫歯の程度によっては虫歯を取った日に歯型を取ることができる場合もあり、その際は計2回の来院で済みます。
さらに、インレーにも材質の種類がありそれぞれの特性があるため、患者様のお口に合うインレーをそれぞれ説明してご提案させていただいています。
インレーを作る際は材質を選ぶことができます。保険適用の素材と保険適用外・金属と非金属など、患者様の希望や適正によって決めていくことになります。
当院では主に「パラジウム合金」・「金合金」・「セラミック」の3種類を扱っています。
一般に「銀歯」と呼ばれる詰め物です。銀や金・パラジウムなどを合わせた丈夫な合金で、保険適用の材質なため費用負担を抑えられます。
しかしながら、材質上たわみができないため隙間ができやすかったり小傷がつきやすく、そこから2次的な虫歯を生じやすいという欠点があります。また、経年劣化で金属が溶け出すこともあり、金属アレルギーの原因になる場合もあります。
一般に「金歯」や「ゴールド」と呼ばれる保険適用外の詰め物です。金はアレルギーをほとんど起こさないため人体にやさしい素材で、パラジウムよりもしなやかで隙間ができにくく、3種類の中で最も2次的な虫歯のリスクが低い材質です。
ただし見た目は目立ちやすく、金の相場は変動しやすいので時期によって治療費が高くなる場合もあります。
セラミックは天然の歯に近い見た目で、一見して詰め物をしていることがわからないほど審美性が高いと言えます。コーヒーやワインなどの着色にも強く、表面に汚れがつきにくい材質のため清掃面でも優れています。
こちらもゴールドと同じく保険適用外のため費用負担が大きいこと、食いしばりが強すぎると割れてしまう懸念もあります。
先ほど解説した材質の性質によって、インレーには2次的に虫歯を作り出してしまう場合があります。これを「2次カリエス」と言います。もちろん虫歯ができてしまうと再び削らなくてはならず、削った部分(窩洞)の形が変わるためインレーの作り直しになります。場合によってはインレーからクラウン(被せ物)に変えなければならないことも考えられます。
2次カリエスの他にも、接着剤が弱まることによる脱落や、インレーそのものが割れてしまう破折など、被せ物にはおおよその寿命があります。
特に、パラジウムのインレーの寿命は平均5.4年程度と言われており、10年以内に再び治療になる確率は33.5%という研究結果もあります。
このグラフは、パラジウムのインレーの再治療原因についての調査結果です。(※1)主な原因について以下に解説します。
2次う蝕・・・インレーと歯の隙間に虫歯ができる
隣接面う蝕・・・インレーと触れ合う隣の歯に虫歯ができる
脱落・・・インレーの下で虫歯が進行した結果、接着力が弱まり外れる
感染根管・・・インレーの下に虫歯ができ、歯の中の神経が膿む
歯髄炎・・・インレーの下に虫歯ができ、歯の中の神経が壊される
それぞれ理由は異なるように見えますが、破折・その他以外は全て虫歯が原因です。つまり、被せ物が原因で再治療する人の約9割は虫歯によるものとも言えます。
しかし、これはパラジウムのインレーに対する研究結果です。金歯やセラミックはパラジウムに比べて2次的な虫歯ができにくいということが知られており、セラミックのインレーは91%が10年間生存していたという研究(※2)や、ゴールドのインレーに至っては81.7%が44年間生存したという研究もあります。(※3)
後者の2種類は保険適用外のため費用は高くなってしまいますが、見た目にごだわりたい方や虫歯になりやすい方にはセラミックもしくはゴールドが有効だと考えられます。
患者様ごとに適用する材質が異なり、歯の位置や種類によっても適したインレーの種類がありますので、しっかりとご相談させていただいたうえで材質を決定いたします。
※1参考文献 (論文内表1インレー部分を独自にグラフ化)
※2参考文献 Estimated survival rates for glass-ceramics and feldspathic porcelain were between 92% and 95% at 5y(n=5,811 restorations) and were 91% at 10y (n=2,154 restorations)(ガラスセラミックと陶材セラミックの推定生存率は、5年で92%から95%(n=5,811個の修復物)、10年で91%(n=2,154個の修復物)でした。).
※3参考文献 At the clinical examination, 536 (81.7%) were still in function and 120 (18.3%) had failed. According to Kaplan-Meier’s method, the estimated mean survival for the whole sample was 77.4% at 39 years and 10 months.(臨床検査では、(44年間で656個のうち)536個の詰め物(81.7%)がまだ機能しており、120個(18.3%)が失敗しました。カプランマイヤーの方法によると、サンプル全体は39年10ヶ月で77.4%の生存率でした。)
虫歯の治療を繰り返すと、治療の度にどんどん歯質が無くなっていき、最終的には神経を取り除いたり抜歯しなくてはならなくなったり・・・とても大きな負担を強いられます。治療回数も増えればその分治療費もかさみ、場合によっては他の健康な歯も悪くしてしまう原因となることもあります。
虫歯にならないように予防するのはもちろんですが、もし虫歯になってしまった時に詰め物での治療になる際は、再発を防ぐ観点からセラミックやゴールドによる治療も検討されることをお勧めします。
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