お酢は歯によくない！？酸蝕歯とは

酸蝕歯(さんしょくし)とは

そもそも、歯の構造は、表面が「エナメル質」その下が「象牙質」、「歯髄」の３層で構成されています。エナメル質とは、人間の体の中でも最も硬い組織ですが、飲食物などに含まれる「酸」にさらされることで、歯の表面のエナメル質が溶けるリスクがあります。このように、酸によって溶けた歯を「酸蝕歯(さんしょくし)」と言います。食後血糖値の上昇抑制、体脂肪・内臓脂肪の減少、血圧低下作用、疲労回復など、体にとっては良いことが多いお酢ですが、例えば、酸性の強いお酢をや炭酸飲料を摂取し続けることが原因となる可能性があります。

歯が溶けだし、むし歯になるリスクも

酸蝕歯の特徴・症状

酸蝕歯の特徴としては、冷たいものや熱い飲食物を口にすると歯にしみるという症状が見られます。見た目の特徴は様々ですが、主には、歯にツヤがなくなる、歯の色が黄色くなる、詰め物と歯の間に隙間ができる、歯の表面に小さなくぼみがある、などがあります。また、酸蝕歯が進行し、エナメル質が溶けた部分はむし歯になりやすくなってしまうリスクもあります。自身の歯に心当たりのあれば歯科受診を受けましょう。

酸性度が高い飲食物

pH（ペーハー）という単位をご存知でしょうか？pHとは日本語で「水素イオン指数」といって、水溶液の性質を表す単位です。pH7は中性の状態を表しており、数値が14段階まであり、数値が0に近づくほど酸性が強いということになります。市販されている穀物酢2後半〜3前後だと言われています。また、炭酸飲料などの市販されている飲料はメーカーや種類にもよりますが、pH5.5以下の物が多く存在します（※1）。もちろん、酸性度が高い食べ物や飲み物を摂取したらすぐに歯が溶け始めるわけではありませんが、摂り過ぎには注意していただき、口腔内のpHをコントロールすることが大切です。

お酢や炭酸飲料だけでなく、こんな物も摂り過ぎ注意！

お酢や炭酸飲料は摂取しすぎると酸蝕歯につながるリスクがあることはお分かりいただけたかと思いますが、実はスポーツドリンクやジュース、ドレッシングなどにも酸は含まれています。このように、酸はさまざまな食品や飲み物に含まれているのです。とはいえ、これらの食品を摂取しないというのは現実的ではありません。体にとって必要なものでもありますので、食後の歯磨きやのケア・唾液の分泌を促すなど、しっかりと対策を行うことが大切です。

酸蝕歯の対策

酸性度の高い飲食物を・・・

(1)寝る前に摂取しない

就寝後はpHが下がり、むし歯菌が増殖します。pHが低い（酸性のまま）就寝することは、むし歯リスクを高めます。（※2）

(2)ダラダラ食べをしない

食事中・食後は口腔内が酸性になるため、ダラダラ食べは口腔内が酸性の状態を長く保たせることになります。

(3)食後30分で歯磨き

食事によって口腔内は酸性になり、歯は脆くなっています。歯の表面を削らないためには30〜1時間後の歯磨きが望ましいと言えます。

以上の３点を心がけることで、過度な食事制限をすることなく、酸蝕歯の対策につなげましょう。

※2）睡眠中の pH は，UAL, UPB ともに入眠後下降し，その後上昇した.pH の変動と DMF 歯数間には UAL, UPB いずれ でも中程度の負の相関が認められ，この相関は UAL での pH の方が強く示された.唾液中の細菌数については総レンサ 球菌，ミュータンスレンサ球菌の細菌数は有意に増加し，乳酸桿菌は有意に変動しなかった.