人間の永久歯は通常、上が14本、下も14本の合計28本生えております(親知らずを含めると32本)。そもそも咬み合わせとは、上下の顎(あご)の歯を咬んだときに接触することを指し、「咬合(こうごう)」ともいいます(ちなみに、「咬み合わせ」は顎の方を指し、「噛み合わせ」は歯の方を指します)。人間の歯とは、上顎と下顎の歯が咬み合うことで機能しますが、理想的な咬み合わせとしては、上顎の歯1本に対して下顎の歯2本が咬み合った「一歯対二歯咬合」という状態が望ましいです。
28本の歯がバランスが良く、しっかり咬み合っている状態といえます。とはいえ、「一歯対二歯咬合」でなければ問題があるわけではなく、痛みや違和感がなく、日常生活に支障がなければ気にすることはございません。ただし、加齢とともに、ある時急に、痛みを感じることがあります。少しでも違和感を感じたら歯科医院で診断を受けることをおすすめします。症状にあわせた適切な治療を行い、痛みを原因を解決することが大切です。
上顎と下顎のズレ、歯並びが悪いことが理由で、上下の歯の咬み合わせが良くない状態を総称して「不正咬合(ふせいこうごう)」と言います。不正咬合の状態ですと、むし歯や歯周病になりやすくなったり、歯の噛む機能が低下することにつながってきます。また、症状が悪化すると下記のような歯の病気になる可能性もあります。
リスク1)咬合性外傷 | 咬み合わせが悪いことで、歯に大きな負担をかけてしまい、口の中や歯の周りの組織(歯周組織)や顎の骨などだけでなく、歯根膜という歯を覆っている膜を傷つけてしまっている状態です。 |
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リスク2)顎関節症 | 口を開こうとすると、顎に痛みを感じたり、口を大きく開けられなかったり、顎から音がする等といった症状です。顎関節症の病態は(※1)4つに分類されます。
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リスク3)むし歯 | そもそも歯並びがよい人でも歯のスキマまで完璧に歯磨きをすることは困難なのですが、不正咬合によってさらにブラッシングが難しくなります。そのため、歯垢や歯石が溜まりやすい状態になってしまうため、細菌が繁殖しやすくなります。また、咬合力の影響で、治療後の補綴物が変形する可能性もあります。 |
リスク4)歯周病 | 咬み合わせが悪いことで、一部の歯に力負担をかけてしまうことで歯周病を進行させてしまうケースもあります。 |
リスク5)歯の欠損 | 咬み合わせが悪いことによって、歯や顎に負担をかけてしまうため、歯にヒビが入ってしまったり、割れてしまう「歯根破折」になってしまう可能性もあります。 |
リスク6)補綴物の破損 | 過度な咬合力、歯ぎしりによって、補綴物が外れてしまったり破損してしまう可能性もあります。 |
リスク7)咬合関連症 | 咬み合わせの異常が関連して、頭痛・肩こり・手足の運動および知覚障害・難聴・めまい・立ちくらみなど、全身の異常を引き起こすことを指します。 |
歯が部分的に重なりあってデコボコになっている歯並びのことです。乱ぐい歯とも呼ばれています。
歯と歯の間に隙間がある状態のことです。すきっ歯とも呼ばれています。
上の歯列が下の歯列よりも前に突出している状態です。出っ歯とも言われています。
下顎の前歯が上顎の前歯よりも突出している状態です。受け口ともの言われています。
口を閉じている状態で、奥歯は噛み合っているのに前歯が噛み合っておらず、常に上下の前歯に隙間ができている状態のこと。別名オープンバイトとも呼ばれています。
奥歯をかみしめた時に、下の前歯が見えないほど上の前歯が覆うように深く咬み合あった状態です。
当院では、複数の治療が必要な場合、まず奥歯からしっかり治療することが多くあります。これは、奥歯をしっかり噛み合わせることで、咬み合わせの崩壊を防ぐためです。
6歳臼歯(第一大臼歯)と呼ばれる歯は、歯の中で最も大きく、咬む力が強くかかる歯で、咬み合わせを決める重要な役割を担っています。
また、不正咬合の診断を行う上で、上下の6歳臼歯の位置関係が重要になります。
正常な位置を「Ⅰ級」、下の6歳臼歯が上の6歳臼歯よりも後ろ側で咬み合っている場合は「Ⅱ級」、逆に下の6歳臼歯が上の6歳臼歯よりも前側で咬み合っている場合を「Ⅲ級」と言います。つまり6歳臼歯が「Ⅰ級」かつ、1歯対2歯が理想的な咬合だと言えます。
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